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2007年 11月 05日
淳 最近は、屋上に緑を植えて屋上庭園とする住宅の設計が多いですね。私も楽しんで仕事をしています。
靖夫 人が多く集まっている都会では得られる敷地の大きさが限られているから、必然的に地上の庭もあまり広くとれないことが多いよね。そこで屋上を庭として設え、緑とふれあえる場をつくることは大事なことだと思います。 淳 そうですね。敷地が広ければ地上の庭を広くとれますから、屋上庭園をつくらなくても十分に緑を設えられる場合もあります。 靖夫 ただ、そのような恵まれた敷地は稀で、庭を広くとることが難しい都市型住宅では、屋上庭園をつくる価値は大いにあると思います。広い土地を買って庭をつくるよりも、屋上庭園をつくる方が安いかもしれないですね。 淳 緑を植えることのない「屋上」をつくるだけでも、東京のような住宅地では、そこに上がったときに思いがけず見晴らしのよい景色を得られ、開放感は得られます。ただ、それだけではもったいない。土を入れ緑を入れると、もっと豊かになりますよね。緑を楽しむことはもちろんのこと、他にも利点はあります。 個人的なことですが、早起きした日には屋上に上がって、緑に囲まれて深呼吸し、特に何もせずにボーッとしていることが好きです。 靖夫 君も年をとってきた証拠かな。些細なことかもしれないけれど、そういうことが日常の生活の中で大事なのだと思います。 ![]() 村田靖夫建築研究室 2007年 10月 22日
淳 住宅を設計するときには、内部と外部のつながりをどのように構成するのか、そのことを常に意識しています。中庭の緑が綺麗に見えるようにとか、気楽に屋上や庭に出られるようなしつらいなどです。それは、生活の質が豊かになると考えているからです。このようなつながりは中庭とそこを囲む部屋の関係のように平面的な広がりの場合が多いのですが、敷地は千差万別で、必ずしもいつも同じことが出来るわけではありません。庭が十分にとれないこともあります。それでも工夫次第で魅力的なつながりが出来ますね。
靖夫 ちょっと変わった例としては「カバードデッキ」というものがあります。戸外のデッキ・テラスに屋根をかけたものです。 淳 「野庭・カバードデッキの家」や「八広・カバードデッキの家」などですね。 ![]() 靖夫 「野庭・カバードデッキの家」は急斜面に建つ住宅で、庭は決して広くありません。ここでは、庭とは別にデッキ・テラスに屋根をかけることで、半戸外の空間をつくり出しています。床を板張りとし、気楽に外に出てデッキでの生活を楽しめるようになっています。 淳 立体的な空間のつながり方が、まるで都市の広場の一角を見ているようですね。生活空間が戸外に延長していて、そこでの生活の楽しさが感じられます。 ![]() 村田靖夫建築研究室 Tags:#野庭・カバードデッキの家
2007年 10月 13日
淳 都市の中では、身近に自然を楽しめる場所はわりと少ないです。近年はビオトープやロハスという考え方が注目されていますが、自然環境を回復しようとすることは大切なことだと思います。また、同時にもっと身近に自然を感じてくつろげる場所があるといいですね。
靖夫 ふだんの生活の中で、戸外の気持ちよさを味わえる場所があるといいね。そういう心で外部空間をしつらえることをアウトドアリビングといいます。居間や食堂の生活をそのまま外でも営めるようにしつらえることです。 淳 そこでお茶を飲んだり、読書をしたり、緑を眺めてボーッとしたり、子供と遊んだりする。気楽に戸外の気持ちよさが味わえる、昔の日本家屋の縁側のような場所ですね。プライバシーを守られていれば、誰に気兼ねすることなくゆったりと過ごせます。コートハウスの大きな魅力ですね。 ![]() 村田靖夫建築研究室 2007年 10月 01日
淳 まだ小さい子供のいる施主からは、個室の独立性をあまり高くしたくないという要望をよく伺います。それは、外から帰ってきても顔を出さずにそのまま部屋に行ってしまったり、閉じこもったまま何をしているのか分からないなど、家族間のコミュニケーションが希薄になることを心配してのことが多いようですね。
靖夫 子供の教育は学校だけで成立するものではなく、家庭と社会の果たす役割は大きいよね。だから生活の器となる住宅の作られ方はとても大事だと思います。家の中でも家族の自然なつながりができる工夫を大切にしていきたいね。 淳 そうですね。そういったつながりのあり方はいろいろ考えられますが、コートハウスを例にすると、中庭を介して部屋同士がつながっています。 靖夫 部屋と部屋が直接つながるのではなく、一定の距離を保っているので何となく家族の気配が感じられますね。近すぎず、またはっきりとした境界をつくるのでもない。コートハウスなので中庭とのつながりを大切にするために部屋の窓を大きくしているけれど、建具やロールスクリーンなどで閉じることは可能だから、開放的になりすぎずに臨機応変な使い方もできます。 ![]() 村田靖夫建築研究室 2007年 09月 24日
淳 中庭があると、それがたとえ小さくともそのまわりの空間がとても魅力的になります。最近竣工した住宅でも小さな中庭を設けたのですが、部屋が明るくなり、風通しが生まれ、室内から見上げると中庭を通して空と屋上の緑が見えるのです。葉を裏側から透かして見ることになるので、とても鮮やかです。加えてこの中庭は主庭から離れた北側にあるので、その恩恵はとても大きく感じられました。
靖夫 コートハウス特有の空間の魅力だね。室内から見た景色の良さもあるけれど、その場所を生かしていろいろな使い方ができるのも魅力として挙げられるのではないかな。たとえばわざわざ物干し場まで行かなくても良いような簡単な物干しをするとか、夏の日差しの厳しい時には中庭の半日陰に植木鉢を移動させるなど、季節に応じた使い方もできる。あとは毎朝の深呼吸をする場としてもいいよね。 淳 そういった生活の中でのちょっとした使い方にはとても便利ですね。そのあり方はプランニングによってもまだ発展がありそうです。それと、適材適所の樹種を選んで植栽を施せば、光に映えた緑の景色も楽しむことができますね。 (下の写真は「駒場のコートハウス」) ![]() 村田靖夫建築研究室 2007年 09月 23日
淳 せっかくつくった庭ですから、そこで読書をしたりコーヒーを飲んだり、深呼吸をしたり、あるいは何も考えずにゆったりと過ごすなど、いろいろと活用したくなります。そういう外とつながった暮らしを楽しむためには、隣地や道路からの視線を気にせずに気軽に中庭に出られること、庭に面する窓を大きくとって開放的に室内とつながることが大事です。つまり、プライバシーが守られていることが大事。
靖夫 修景と近いところもあるけれど、目隠しをしてプライバシーを守ることが基本だと思います。伸び伸びと外につながってこそ、初めて自然と親しむ暮らしができる。もちろん立地条件はいろいろだから庭のあり方もさまざま。目隠しの方法もさまざまだけれど、建物や塀、植栽などできちっと囲い込んでプライバシーを守ります。 プライバシーを家の中に閉じこめておくのか、あるいは中庭のような自然との交歓の場所を含めて考えるのか、それは生活の豊かさを考えていく上で、とても大事なことだと思います。 淳 プライバシーの境界を広げることで生活空間の範囲も広がりますから、生活の「質」も変わりますよね。外とのつながりが薄く「内」に向きがちの生活と、緑や空が見えたり、鳥などの小動物がやってくる様などが楽しめる「外」にも向いた生活とでは、おのずと得られるものが変わってくるのではないでしょうか。 ![]() 村田靖夫建築研究室 2007年 09月 17日
淳 都市型住宅では敷地の大きさに余裕がない場合が多く、広い庭をとれることはまれです。自分のところもそうだし、大体は周辺もそうです。
靖夫 軒を接する近さの住宅地がもう一般的だからね。 淳 そうです。そうすると庭の向こう側にすぐ隣家がある。こちらは南側の庭にむかって窓を設け、隣の家の北側が見えることになります。だいたい、そういう場所にはトイレの窓やエアコンの室外機、給湯器などの見たくないもの、家の裏側が見えてしまいます。 靖夫 せっかくの庭をとれても、そういったものが見えてしまっては風景としては台無しです。方法はいろいろあるけれど、まずそういったものを見せないように主庭を囲い込んで風景を整えること、つまり修景から始める必要があります。 淳 貴重な庭とつながった暮らし方をするためには、修景をすることと同じくプライバシーを確保することも大事ですね。 ![]() 村田靖夫建築研究室 2007年 09月 09日
淳 コートハウスでは、内と外が一体となったひとつながりの空間として部屋を広く感じます。一方で、容積率の許す限り大きな部屋をとり、庭は小さくてもよいという考えもあると思います。実際は敷地の条件によって変わりますし、そう簡単にいく話ではないですが。
靖夫 広がりを得るという意味ではそうかもしれない。ただ、人は家の中だけでなく外にも住むものではないかな。天気のよい日は太陽の光を気持ちよく感じたり、木陰でゆっくりと読書をしたり、あるいは花がきれいに咲いているのを楽しむとか、実際にはそういう外とのつながりをもちつつ生活していると思います。だから、家の中だけを広くするだけではつまらないよ。 淳 そうですね。隣近所の人と挨拶を交わしたり子供が公園で遊ぶなど、家の中だけに住んでいるのではなく地域に住んでいるわけですから、社会と何らかの関係を結んでいると言えます。 靖夫 だから、何かしらのかたちで外とつながっていたい。それもわずかにつながるのではなく、できれば一体になったほうが部屋も明るくなるし気持ちよくなります。 淳 ええ、設計するうえでいつも心がけています。庭の大きさに関わらず、外との気持ちよいつながりをもつことは工夫をすることで実現できますね。私たちの心がけ次第かな。 ![]() 村田靖夫建築研究室 2007年 09月 02日
淳 「コートハウス」を今まで多く設計してきましたが、あらためてその魅力とはどういうところにあるのでしょうか。
靖夫 まず、「コートハウス」とは、何か。簡単に言うと中庭を持つ住宅と考えていいと思います。では、その魅力はというと、プライバシーを守りながら快適な外部空間、つまり庭を得られることです。小さくても庭があれば、外に対して開放的な住まいとなれること、いつでも緑とつながっていられること、プライバシーを守られた生活が出来ること、敷地を使い切った住まいをつくれること、、、などなど、その魅力は数え上げればきりがないです。とにかく良いところはたくさんあるよ。 淳 そうですね。コートハウスにいると自然と視線が中庭に向かいますし、新緑の鮮やかな葉、風にそよぐ枝のさま、草花の日々の変化などを身近に感じられ、心身ともに健康で楽しく暮らせそうです。 靖夫 それが日々の暮らしでは大事なことだと思うよ。 淳 次回以降、もう少し詳しく話をしていきたいと思います。 ![]() 村田靖夫建築研究室 2007年 08月 26日
淳 今日から、不定期ですが私たちが住宅の設計で考えていること、意識していることを二人の対話で少しずつですが記していこうと思います。まずは「庭」についてです。東京近郊で依頼される仕事の多くは、広さに余裕のある敷地は多くないですね。
靖夫 そうだね。私が設計を始めた頃は広い庭があり、そこそこの大きさの家が建つ広さの敷地が一般的だった。まだ都市に人が集まることが加速していない時代だったんだね。私の恩師である清家清の世代はそうでした。だから、窓を開放的にしても広い庭があるおかげでプライバシーを損なわれることがなかった。それが、人の集中と共に敷地の大きさが徐々に小さくなって、いわゆる「都市型住宅」と呼ばれるような大きさになった。 淳 相続の問題もあるのでしょうが、いわゆる旗竿状に分割されている敷地はイメージしやすいです。そうすると、広い庭がとれる恵まれた条件の場合はともかく、敷地の大きさによって庭のあり方、そこに面する部屋のあり方も従来のつくり方のままではいけないです。隣家と軒を接するような「都市型住宅」では、工夫無く窓を開けると外から中が丸見えになるおそれがある。そうは言っても、窓を小さくして外とのつながりを無くすことは問題から逃げていると思います。当たり前のことなのですが、きちんと考えて設計している人は意外と少ない。 靖夫 特に都市型住宅の場合は、限られた条件で部屋もなるべく広くとりたいし、かといって庭をとることも諦めたくない。コートハウスを多くやっているのは部屋と庭、つまり「内」と「外」を連続して視覚的につなげて広く見せる工夫のあらわれです。庭をはさんで向こうに部屋があることで、だいぶ広がりが得られます。 ![]() 淳 そうですね。広く見えるだけでなく、「外」である庭が「内」であるようなちょっと不思議な感覚です。例えばこの「樹と簀子のコートハウス」も周囲は建て売り住宅が並ぶ住宅地ですが、その中でこれだけ外とつながった生活ができるのは大きな魅力で、とても大事なことだと思います。 村田靖夫建築研究室 Tags:#木と簀子のコートハウス
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